6話 消せない傷痕
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「真咲はイオン様を!」
私はジェイドの指示に従い、イオンを庇うように立ち杖を構える。いつでも、オラクル兵に攻撃できるように。
――私にできるだろうか、人を『殺す』ことを。
ジェイド、ティア、ガイが次々とオラクル兵を倒していく。あとはルークの前で膝をついているオラクル兵だけ。
「ルーク、止めを」
感情を殺した声で言うジェイド。その言葉に苦い顔をする、ルーク。
「くそっ」
一瞬、躊躇してから剣を振り下ろすと、その剣はオラクル兵によって弾かれた。剣は宙を舞い、地面に突き刺さる。
「ぼーっとするな、ルーク!」
今度は動揺しているルークに形勢を逆転したオラクル兵が剣を振りかざした。ガイが走り出すが、距離があった。ティアも走り出していた。
「真咲!?」
誰かが私の名を呼んだ。気づけば、私はルークの前に飛び出していた。体が勝手に動いた。この後、ティアがルークを庇って怪我することなんかは忘れていた。
「風よ、切り裂け!!」
オラクル兵が剣を振り下ろすと同時に杖を自分の前に突き出し、言葉を発する。風の刃が目の前のオラクル兵を切り裂いた。体の至る所から血を流しながら、オラクル兵は絶命し、私の頬に生暖かい血がついた。
――人を殺した。
――私は初めて、人を殺した。
ただ、まだその実感が湧かない。ルークの気持ちが…分かった気がした。
「真咲」
名を呼ばれ、手の甲で頬の血を拭いながら振り返ると、イオンがいた。
「大丈夫ですか?」
私のことを気にしてか、イオンは悲痛な表情をしていた。