41話 空を胸の内に隠す君
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「……ティア」
カタンっと小さな物音が鳴り、一呼吸置いてから体を起こす。少し遅い時間に帰ってきて、隣に眠っていたはずのティアの姿はない。どこに行ったのかは知っている。でもやっぱり言うことは出来ない。疲れているのか同室のナタリアとアニスはぐっすりと眠っている。
「……寝られなくなっちゃった」
このままゴロゴロしてると二人を起こしてしまうかもしれない。そっとベッドを抜け出してロビーまで行く。時間が時間だけに誰もいない。
「真咲?」
と思っていたら後ろから声。ゆっくりと振り返るとジェイドの姿。
「どうかしたのですか?」
「水を、飲みに来ただけです」
下手に寝られないとか言うとなにされるかわからない。夜中に二人きりだと尚更。
「いくら力が殆ど戻ったとは言え無理はしないで下さいね」
「これくらいは平気ですよ」
心配しすぎです。そう微笑んでみせれば、ジェイドは私の前まで近寄り、そっと頬を撫でる。いつものようにグローブを付けていないその手は冷たくて、ピクリと肩を震わせてしまった。
「言ったでしょう?あなたの大丈夫は信用しないと」
言うのと同時に私の唇に自身のそれを重ねる。不意打ちで出来た私の隙をつくのも忘れない。触れる程度だったキスは深くなる。拒むことはせず、ただ何も考えずに彼のインナーを掴む。
「拒みませんか?」
「たまには、です」
改めて聞かれると何だか気恥ずかしくなる。わかっていてなんだろうけど。少し疲れたのか、甘さを求めていたのかもしれない。長くも短くもないキスに心は軽くなった気がする。
「水はいいんですか?」
「もういいです」
色んな意味で潤ってしまった。けど余計に寝られなくなりそうだ。そこは自業自得ということで、大人しくベッドで丸くなるとするかな。
「おやすみなさい」
「ええ、おやすみ」
もう一度、触れる程度のキスをされ、ナタリアとアニスの眠る部屋へと戻った。