41話 空を胸の内に隠す君
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「ともかく!もう離して下さい!」
「折角、あなたから抱きついてきてくださったのに」
勿体ないですねぇ。と言いながらもその手を離す。いやいやそんなことを言ってる場合じゃなくて。そりゃ、恋人同士って言えるようなことは何もしてないけど。旅をしている以上は、節度を弁えるのが大人と言うもので……って話が飛んでる。
「あなたの偶然にアニスは助けられたと言うわけですか」
「……のようです」
何もないところで転んだと同時。これ以上にないタイミングだ。当のアニスは私とジェイドとのやり取りより、アニスが何かを言い掛けた時に私がタイミング良く転んだことの方にまだ驚いてるようだ。
「先を急ぎましょうか。こんな所に長居は無用ですしね」
「そうだな。やるべきことを片づけちまおう」
結果オーライなんだろうけど腑に落ちないのは何でだろう。私が悪いのはわかってるんだけど、私が恥を掻いただけで終わってる気がしないでもない。
「……不幸だ」
ぼそりとつぶやいたこの言葉は誰にも聞かれることはなかった。
「あまり膨れっ面をすると可愛くありませんよ」
「可愛くなくて結構です!」
私の反応を楽しんでいたのは絶対だ。ああすれば私が慌てふためくのなんてわかりきっていた筈。人が悪いのは今に始まった事じゃないけど、にしても恥を掻かされた方としては嬉しくとも何ともない。
「そりゃ私が転んだのがいけないですけど」
そのおかげでみんなからアニスへの疑惑を増やさなくて済んだけど、納得は行かなかくて。
「私としてはもう少し甘えてきて欲しいんですよ」
私の頬をひと撫でして微笑む。人目もあるのと私の性格もあるから素直に頼ったり甘えたり出来ない。それを寂しいと思ったのか。けど、そう思ってもらえる私は凄く幸せで、嬉しかった。