40話 裏切りの果てに残ったもの
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「アーニス。みんな行っちゃったよ?」
ポツンと佇むアニス。みんなが屋敷を出て街の外の方へ向かったのを見てから声を掛ける。少しだけ顔を上げた彼女の表情はいつものように明るくはない。
「……どうして?」
何とか聞こえるくらいの小さな声。言いたいことはわかる。けど、それを私が言うわけにはいかない。
「どうして、信じられるの?」
スピノザのことなのか、それとも。それを今ここで問うことも出来ない。重ねてるんだろう。この年でそんな事を選択させられているのだから、無理もない。かと言って私が何かして上げられるわけではない。イオンにその事を伝えたところで、事実は変わらないから。
「まずは信じないと何も始まらない、からかな?」
正直者は馬鹿を見るかも知れない。でも見ないかも知れない。
「もし信じないでいて、その人の言うことが本当なら、逆に裏切ることになるよ」
「でもっ!……でも……」
アニスもわかってるんだ。わかっているから葛藤してしまう。信じたいけど信じられない。
「今はアニスの信じた道を行った方がいいよ。後悔してでも。それも一つの経験だから」
「……真咲」
少し泣きそうな顔のアニス。これはこれで可愛いなぁ。怒るから言わないけど。
「……うん、わかった」
まだ葛藤してるだろうな。そんな簡単じゃないもんね。まぁ、今すぐ何かしなくちゃいけないわけじゃないし。
「そうだ。アニスにいいこと教えてあげる」
「なになに~?」
手を繋ぎながら外に出ると先に行っていたと思ってたみんなはまだ宿屋の前にいた。待っててくれたみたい。
「私の国ではね、『信じる者』って書いて『儲かる』って読むんだよ」
「うっそだぁ!」
儲かるという言葉にすぐさま反応するけど、さすがにそれはないと思ったか、私を指さして叫ぶ。もしかして最初からそう言っておけば元気になったとか?