40話 裏切りの果てに残ったもの
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「人間性はさておき、彼の頭脳は必要なんですよ」
ジェイドも信用……ううん、信頼する訳じゃない。でも私たちがなさねばならぬ事に彼は必要。背に腹は代えられないから。それをわかっているだろうスピノザはやらせてくれと頷き、自分に出来るのは研究だけだと意欲を見せる。
「……あなたは兄の――ヴァンの研究者でしょう。そんなことをすれば殺されるかもしれないわ」
「……それでもやるんじゃ。やらせてくれ」
警告を促すティア。覚悟は出来ていると言わんばかりにそれでもやると。今まで泳いでいた目はもう決意に満ちていた。
「なぁ、みんな……今一度、この馬鹿を信じてやってくれんか?」
そんなスピノザの姿を見てか、ぽつりと呟くようにそう言ったのはイエモンさん。長い付き合いの中でこんなスピノザを見たのは初めてだったのかもしれない。けどやっぱりアニスが、裏切り者に拘る。
「この人に24時間監視をつけてはどうですか?それで研究に合流させればいい」
そんなに不安なら。ジェイドの提案に知事は私の一存では、とちらりとナタリアを見る。すれば、私が命じましょう。ジェイドの言うとおりに計らって下さい。と知事に命じれば、御意にございますと頭を下げる。
「私の瘴気隔離案については、走り書きですが、ここに纏めておきました。検証してみて下さい」
いつ書いたのか、びっしりと書かれた数枚の用紙をスピノザに手渡す。安心したのか、アストンさんは三号機を修理して帰ると知事の屋敷から出ていった。そしてスピノザ知事と共に第一音機関研究所へと向かう。
「そうそう。研究員たちから皆さんに伝言を承ってます。もう一つのセフィロトはダアトの教会付近にあるそうです」
そう言って今度こそ出て行った。教会にあると聞いてイオンが初耳だと驚く。ともかく行って探そうという事になった。みんなが出て行った後、彼女はこう呟いた。
「なんでそんな簡単に信じちゃうの?みんな、馬鹿みたいだよ……」
と。