38話 変えてしまうことを恐れずに
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「屑さ。能力が劣化していたから、生きながらザレッホ火山の火口に投げ捨てられたんだ。ゴミなんだよ……代用品にすらなれないレプリカなんて……」
シンクはすでに諦めている。生まれたときから、自分を否定して諦めている。一度そう思ってしまっては何を言っても簡単には届かないだろう。
「……そんな!レプリカだろうと、俺たちは確かに生きているのに」
「……必要とされてるレプリカのご託は、聞きたくないね」
一瞬言葉が詰まったのは私の言葉を思い出してか。欠片でもいいから届いてくれるといいな。
「そんな風に言わないで。一緒にここを脱出しましょう!僕らは同じじゃないですか」
共に行こうと手を差し伸べるイオンの手を叩いて払う。その手は取れない、取りたくない。
「違うね」
「違くないよ」
一歩後ろへと下がった彼に私は前へ出る。今の私は彼のように諦めは悪くない。死の寸前から生き延びられた。それは私の力じゃない。みんながいたから。シンクはそれをまだ知らない。
「生は平等だよ。何度でも君に同じことを言うよ。世界にはシンクを必要としてる人がいる」
仲間とも友達とも言える存在がいないから、孤独だから希望が見えないんだ。
「シンクは預言に支配されてない。世界に絶望する前に自分のために生きてよ!」
オールドラントに来るまでは生きる意味なんて考えなかった。人の死だって目の当たりにすることだってなかった。過酷な運命を持ってる人を見ることも。誰かのために誰かと一緒に生きることは人には必要なんだって気づかされた。
「真咲……アンタは馬鹿だよ。ボクが生きているのはヴァンが僕を利用するためだ。結局……使い道のある奴だけが、お情けで息をしてるってことさ……」
身を投げるシンクを見守るしか出来なかった。知っていたから、掛けだして手を差し伸べることも出来たのに足は動かなかった。最後に見せた表情が私の足を止めた。