38話 変えてしまうことを恐れずに
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「お……おまえ……」
アニスの攻撃で倒れた際にいつも付けていた仮面が落ちる。うっすら見えた素顔にルークやアニスの表情が変わる。たぶん、鈍器で殴られたような衝撃を受けたに違いない。
「嘘……イオン様が二人……!?」
「……くっ」
絞り出すように発したアニスの言葉にシンクは顔を歪める。隠してきたものが露見した。
「やっぱり……あなたも導師のレプリカなのですね」
ゆっくりとシンクの前まで近寄ったイオンが複雑な表情を浮かべる。
「おい!あなたも……って、どういうことだ!」
「……はい。僕は導師イオンの、七番目――最後のレプリカですから」
意味深な言葉を発したイオンに私とジェイド以外が言葉を失う。最初から知っていた私。デオ峠で気付いたジェイド。特に一番側にいたアニスの驚きようはない。
「嘘……だってイオン様……」
「すみませんアニス。僕は誕生して、まだ二年程しかたっていません」
ルークより短い、二年という数字に更に驚きを見せる。イオンを見てる限り、二年しか生きていないとは思えない。それはシンクにも言えることなんだけど。
「二年って、私がイオン様付きの導師守護役になった頃……まさかアリエッタを解任したのは、あなたに……過去の記憶がないから?」
導師守護役が一斉に解雇され、新たに編成された理由。被験者イオンが病に冒され死に直面していた。次の導師がいないことに困りフォミクリーを使用した。まあそれだけが理由じゃないけど。
「……おまえは一番被験者に近い能力を持っていた。ボクたち屑とは違ってね」
「そんな……屑だなんて……」
自嘲気味の笑みを浮かべるシンクにイオンは哀れみにも似た表情を浮かべる。複雑な気持ちを上手く表現できないように。同じレプリカだけど違う境遇の二人。