38話 変えてしまうことを恐れずに
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「へぇ……やるじゃん」
術を使うと思ってたのか、予想を反したであろう私の攻撃に発せられた言葉とは裏腹に不快を露わにしていた。たぶん私が未だディストの実験のせいで不調だと思っていたのだろう。
「シンク……止めて。こんな事しても何の意味もないよ」
この先、シンクが望み未来はない。どう捉えてもない。死を選ぶことを彼は幸せだと思うかも知れない。こんな形で生まれてきたくはなかったと。
「アンタはここで死ぬんだ。そんな心配はいらないんじゃない?」
また一気に間合いを詰めて拳を突きつけてくる。今度は杖で防御をする、が細い体のどこにそんな力があるのか少しでも気を抜いたら弾き飛ばされてしまいそうだ。
「シンクが思うほどこの世界は汚れてない。君はまだ世界を知らない」
「はあ?何言ってんの!?」
シンクは拳を突きつけたまま、私の横腹に蹴りを入れる。咄嗟に脇を閉めたけどそんなことで防ぐことは出来なくて私は吹き飛ぶ。
「真咲!?この……」
「来るなっ!」
一対一で交戦していた私が倒れたのを見てルークがシンクへと攻撃を仕掛けようとしたけど、それを私を制す。まだ話は終わってないし、まだこの話を聞かれるわけにもいかない。
「シンクはちゃんと世界を見てない……憎しみの気持ちを消して見てない。だから、本当の美しさを知らないんだよ」
こんな時に不謹慎かも知れない。でも自然と笑みが零れる。彼に向けて笑みを浮かべれば、シンクの動きが止まる。目を見開き、揺れる。
「人は、誰にでも平等に命があるの。人だけじゃない。全ての生き物に。生まれたら生きる権利があるんだよ」
偽善者と罵られてもいい。ううん、そう言う人の方がきっと多い。でも、それでも死ななきゃいけない人も死んでもいい人もいない。それだけは絶対に揺るがない。