37話 過去を許し平和へと
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「私は、人に好きになってもらえる資格なんてないって思ってました」
みんなに酷い嘘を吐いてる。事実を知っているのはジェイドとピオニーにイオンとアッシュ。ヴァンたちは別として。数人しか知らない、私がこの旅の結末を知ることを。それをジェイドにすら言うつもりはない。言ってはならない。
「未だ、みんなを騙しているから」
ちゃんと全部を知るまで、心の整理が付けられるまで話すつもりはない。後で罵倒されようとも、まだ話すべきじゃない。混乱させてはいけないしその時間も取れない。簡単に終わる話ではない。そんな逃げ腰な私が誰かを愛し愛される資格なんて全くない、そう思って封印しようとした。
「それなのに私なんかを、って言ってくれる人がいて応援してくれる人がいて。立ち止まることが出来ないんです」
きっとガイが背中を押してくれなかったら、ジェイドに自分の思いを一生言うつもりはなかった。時間が経てばいつか想いは消えてなくなると思っていたから。
「怖いくらい幸せ者なんです、私は」
「人は誰でもその資格を持ってるんだ」
大悪党だろうが何だろうがな、そう太陽を思わせる笑みを浮かべるピオニー。
「まあ、私なんかでいいのかなとは思いますけど」
改めて思う。私なんて平凡だからどこにでもいる人間だ。でもジェイドは見ての通り、美形で背も高くて文武両道。声もいいし、養子とはいえ家柄もある。強いて問題を言うなら性格か。端から見たら不釣り合い。
「ジェイドはそんなもん気にしないだろ。言うような奴がいればひと睨みすんだろ」
「そうですね」
今でも嘘みたいだけど、彼は私を好きって言ってくれて。嬉しくて嬉しくて、嘘を吐いて一度は断ったのにそれでも好きでいてくれて。私にはもったいない人。叶うならこれから先も一緒にいられたらと思う。もう一度、人を愛させてくれた人だから。