37話 過去を許し平和へと
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「ヴァンだ。ヴァン・グランツ。奴の本名がヴァンデスデルカ・ムスト・フェンデ」
その名に一同が驚く。まさかこの崩落事件を起こした張本人の名前だとは思わなかったんだろう。あのジェイドですら驚きを隠せないでいる。
「そうか、だから封印した生物レプリカを、ヴァンは知っていたのか……」
当の本人だから知っていて当たり前。そして研究にも手を貸していたディストもいるのだから復活させるのも造作もなかったかもしれない。
「ガイ。ひとまず剣を納めてはいかがですか?この調子では、ここにいるほとんどの人間を殺さなくては、あなたの復讐は終わらない」
傍観の立場にいたイオンが一歩前へ出て仲裁へと入る。真実を知れば知るほど人は傷つくことがある。酷な事実にここにいる皆が傷ついたはず。
「……とうに復讐する気は失せてたんだがね」
けじめを付けたかったのだろう。後で自身が罰せられようとも、もう二度と同じ過ちを繰り返さないかどうかを。ガイは小さく微笑みながら剣を鞘へと収めた。
「思わぬところでヴァンの名が出たようですが、ここは一度解散いたしましょう。よろしいですな」
テオドーロの閉会の言葉に両陛下は立ち上がる。インゴベルト陛下はファブレ公爵とともに会議室を後にした。
「ジェイド」
じゃあ私たちもと部屋を出ようとしたとき後ろから声を掛けられ振り返る。声の主はピオニー。
「悪いが少しだけ真咲を貸せ。話がある」
「……私、ですか?」
この後はシェリダンに向かい、外殻大地降下作戦を実行となるのに。何の話だろう。ジェイドの表情が不機嫌そうに歪む。
「なに少しだけだ。どこか話せる場所はないか?」
「それでしたら私の家でどうぞ」
奥にセレニアの花が咲く部屋がありますので、と申し出たのはティアだった。どうしようかと悩んでいると、行ってきなさい。と溜息を吐いてジェイドが言った。