36話 手を取り合う時
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「いたよ!あれがライナー」
前には行かなかった修練所へと下りてみるとアニスが声を上げてそこにいる男性を指さす。
「あいつ、何してるんだ?」
「神託の盾騎士団の先兵から響長へ昇進するための訓練よ」
床を四方に歩き回るライナーを見てルークが首を傾げる。あれがなんで昇進するために必要なのか些か気になる。
「これは導師イオン!何故このような場所に……」
私たちが近づくとライナーはそれに気付く。私たちの中にイオンがいることに気付くと歩き回るのを止めイオンに礼を取る。
「ディストが預かっている飛行譜石を知りませんか?」
「ああ、それなら私が預かっております」
イオンの聞き方上手いなぁ。本当は私たちから奪ったのに、預かってるって。まあ、奪われたとか言うと色々疑心暗鬼を生みそうだし。
「どうしてあなたが?」
「はい。私は一昨日より響長昇進訓練に入っておりますので、1ヶ月近くここを離れられません。それ故、しばらく私に預けると仰って……」
簡単に話してくれるものだ。イオンがいるからなんだろうけど。
「にしても本当に馬鹿だね」
「救いようがないな」
持って逃げれない人に預けるって。ディストの頭の中には私たちがケテルブルクに来ないという選択肢はないんだろうな。
「本当にジェイドさんが好きなんだ」
「……ですから止めて下さい」
思わずもう一度口にする。本当に嫌なんだろう、眉間に思い切り皺が寄ってる。
「それを渡してもらえませんか?」
「それは導師のお言葉でもできかねます。ディスト様から、肌身離さず持つようにと言われておりますので」
ディストの部下とは思えない忠信振り。イオンが言っても首を振って渡せないと言う。それを見たジェイドはティアを見る。彼女も彼の言いたいことを即座に察し、頷く。