36話 手を取り合う時
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「……ダアト、か」
先日訪れたときのことを思い出せば体が震える。その震えを抑えるようにそっと自身の体を抱き締める。
「真咲」
「……平気です」
じゃないのはわかってる。ここにディストがいる云々じゃなくて、あの光景が蘇るだけ。ぽんっと肩に手を置くジェイドに苦笑いを浮かべる。強がりとわかってくれると思うけど、ここで変な様子を見せてはルークたちに要らぬ心配をかけてしまう。
「何かあったらすぐに言いなさい」
と微笑んだと同時にジェイドが体をすっと横に動かした。あっ、と声を上げたけどもう遅い。
「いったーい!」
サクッと、一つの紙飛行機がアニスの頭へと直撃した。ちらりと彼を見れば楽しそうな笑みを浮かべてるし。
「誰だ、ボケぇっ!?」
頭に手を置いて大股を開いて本性を丸出しにするアニス。もう誰も驚かないけど……可愛いな。
「手紙だ……これは……ディストからだ!」
「なんて書いてあるんですか?」
手紙を拾ったルークが折られた手紙を開いてみるとそれはディストからで、それを聞いたみんなは顔を見合わせた。それもそうだ、飛行譜石を持ってるはずのディストからの手紙なのだから。イオンに問われ、読み始めたルーク。書き出しが「憎きジェイド一味へ」と来たものだからナタリアが怒り露わにする。なんだろう……うん、さすがにそれはイヤ。
「飛行譜石は、私が――この華麗なる薔薇のディスト様が預かっている」
嫌な表情を浮かべてルークは更に読み続ける。もう読みたくないって顔してる。ディストのって思うとなんだろうけど、まあそこは仕方ないとして。私は読みたくないけどね。しかし……よく自分でことを薔薇って例えられるよ。よほどのナルシストなんだ、へぇ。
「真咲?」
「……うーん、ルーク哀れ?」
変な顔でもしてたのか隣のアニスが首を傾げて私を見る。あれの手紙を読まされてると思うと、と続けるとアニスも、ああと頷く。