36話 手を取り合う時
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「顔色が悪いですよ」
だからあなたせいです。余計な事をしなければこんなに頭痛もしないですんだのに。ガイだって、私が受け入れられないのをわかってて励ましてくれたってのに、挑発するような真似なんて。後ろにガイがいなければ言いたいけど、言えない。
「そうですか?」
誤魔化すしかない。ああ、楽しく談笑しているルークたちの方に行きたい。好きな人と両思い?今はそんなんより癒しが欲しい。可愛いルークやアニスの元に行きたい。ささやかな願いすら叶わないなんて。
「……君の言葉は」
――まるで温かな光のよう
私に灯す蛍火みたいだね
キミはたくさんのものを与えてくれる
何も出来ない私に
一つ一つと光をくれる
消えゆくと、
一人泣き叫ぶ私に
希望を与えてくれた
返したい。何かを返したい
心に残る何かを
いつか、いつの日か…
あなたの心にも私の光を与えたい
私はここにいる……
ここにいるから……
歌うのは好き。お世辞にも上手いなんて言えないけど、でも好き。魔術を使うときのように頭に浮かぶまま、思うがままに奏でる。意味なんてない。ただ思うまま。
「……真咲」
「久しぶりだな」
「そうですわね」
隣のジェイドが名を呼び何か言いたげにしていると反対側に座るルークとナタリアが声を上げる。アニスやティアも何やら言ってるけどみんなでわーわー言ってるから聞き取れない。
「今の気分、ですかね?」
ちょっと苦笑い。あの重い雰囲気の中で歌うのってある意味勇気がいる、んだけど。でも私にとっては逃げに等しいかも。
「……まったく、あなたには適いませんね」
ぽんぽんっと頭を軽く叩かれる。後ろのガイも、本当にな。と呟かれた。そう言うつもりは……半分くらいあったり。私のことなんかで、溝を作らないでくれればそれでいいの。今は、世界だけを見て。