36話 手を取り合う時
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「……よかろう」
しばしの沈黙の後、陛下がそう言った。この言葉にルークは笑顔を浮かべ声を上げた。一方、モースとアルバインは信じられないと言った表情で陛下の方に向き直る。
「なりません、陛下!」
「こ奴らの戯れ言など……!」
「だまれ!我が娘の言葉を、戯れ言などと愚弄するな!」
止めに入るアルバインとモース。特にモースなんて内心相当焦ってるはず。二人、と言うかモースの言葉にインゴベルト陛下が激怒する。この瞬間、謁見の間に沈黙が訪れた。
「……お父……様……」
まるで信じられないと言った風にゆっくりと瞬きするナタリア。ルークも同様に驚いていた。いや、私とジェイド以外は全員驚きの表情を浮かべていた。
「……ナタリア。おまえは私が忘れていた国を憂う気持ちを思い出させてくれた」
「お父様、わたくしは……王女でなかったことより、お父様の娘でなかったことの方が……つらかった」
優しい笑みを浮かべるインゴベルト陛下。目尻に涙を浮かべ、立場身分より本当の親子でなかったことの方がつらいと口にするナタリア。
「よかったなナタリア」
陛下とも無事和解をしたナタリアに笑顔が戻っていた。たとえ血が繋がらなくても、共に過ごした日々に偽りはない。確かに本当の親子だったのだから。自分のことのように喜ぶルークにまだまだこれからだぜ。と言ったのはガイ。親子をやり直す……何も知らなかった頃には戻れない。それでもこの二人ならきっと大丈夫。
「……モース様は引き上げたのかな」
「ダアトに引き上げたようですね。ひとまず動くことはないと思いますが」
イオンの言葉にアニスが、ダアトに……と表情を暗くする。私は知ってるから、それを思うと素直に気分は晴れない。何はともあれ、モースの横やりが入る前にマルクトに向かうことになった。