35話 共に見る世界に
夢小説設定
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「……君がもし~」
もう随分前に日は暮れて夜風が冷たい。さすがにこの街でマルクトの軍服は着てられないから上着は脱いで、以前ジェイドにもらったストールを羽織っている。宿屋の前の手すりに手を置き歌っていた。
「……どうしよう」
わざわざ一人になったのは考えたいことがあったから。昨日のガイとの約束。本当に今更な気がして……けどそんな簡単に忘れられるものでもないし。寧ろその想いは募る一方で。一度断っておきながら告白なんて。あ、でも今私、ジェイドにまだ迫られてるんだっけ。思い出すだけで恥ずかしい。流れに任せてしまえば楽になるのかな、とか考えちゃうし。
「どうしたらいいんだろ」
「何がですか?」
手すりに肘を付き体を預けて溜息を吐けば後ろから声が。それが誰かは言わずとも知れてる。悩みの種である張本人が現れたのだから。
「驚かさないで下さい」
「驚いているようには見えませんが」
振り返り手すりへ背中を預けてジェイドを見上げる。私と違い軍服は身に纏ったまま。ポケットに手を入れていつものように微笑んでいる。
「こんな時間ですよ。大声を上げるわけにはいかないじゃないですか」
「こんな時間とわかっていて抜け出したのですか?」
そうこんな時間。もうそろそろ日付も変わる頃。すでに眠っているティアたちを横目にそっとベッドを抜け出した。眠れなかったから。どうしても昨日のことが頭から離れなくて、悩むしかなくて。
「眠れないんですか?」
あなたのせいで、とは言えないけど頷く。コツコツ、と音を立てて私に近付き隣に立つ。正直内心はドキドキしている。緊張までしてきた。ジェイドに告白……ある意味最大の課題を約束させられたんだからドキドキくらいする。あまりに高鳴りすぎて聞こえちゃうんじゃないかとかまで思い始める。