35話 共に見る世界に
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「そういやジェイドに真咲。こんな短い時間でどんな手を回したんだ?」
ガイに屋敷に寄るか問われて首を振ったルークが私たちへと振り返る。何がですか?と問い返すジェイドは意地悪だ。わかっているくせに。
「城で伯父上を脅してただろ」
「ああ、はったりに決まってるじゃないですか」
「それに乗っかっただけだよ」
あははは。と笑う私とジェイドに向けられたのは顔をひきつらせたみんなの視線。
「……マジかよ」
「てかあそこまでする?」
一番は私の魔術のようだ。もし私が杖を床に打ち付けたら術が発動するから。と言っても、たとえ発動させてもただ光だけ。光を発生させるだけの言葉を紡いだのだ。
「宿に、行くか」
「……そうね」
何はともあれ、謁見は明日。今日は宿に泊まろうと城の前から移動する。全ては明日。そう思ってか、なんだかみんなの足取りが重く見えるのは。
「明日、もしもインゴベルト陛下が強攻策に出てきたら、どうするつもり」
「……いや、説得する。なんとしても」
書状を手渡したとしても、イオンがいたとしても、モースがいるならば手段を選ばずに何かしでかしてくるかもしれない。
「だが陛下が簡単に納得するかな」
「そのときはわたくしが城に残り説得します。命をかけて」
「ナタリア……!」
思い悩むインゴベルト陛下。けどまたモースや家臣にあれこれ言いくるめられて覆すかも知れない。それでも、ナタリアは説得をすると言う。自分が陛下の側にいて、間違った道に進むのならそれを諫めることが自分のするべきのことだったと。
「ナタリア。やっぱりあなたはこの国の王女なのね」
「そうありたい……と思いますわ。心から。わたくしはこの国が大好きですから」
はっきりと言いきったナタリアはとても綺麗だった。それは王女以外、何者ではなかった。