35話 共に見る世界に
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「恐れながら陛下。年若い者にたたみかけられては、ご自身の矜持が許さないでしょう。後日改めて、陛下の意志を伺いたく思います」
重い静寂を切り裂いたのはジェイド。彼の思いもかけない言葉に全員が一斉に顔を向ける。それもそうだろう、後日改めなんて。
「兵を伏せられたらどうするんだ!」
今だって半ば強引に謁見しているようなもの。日を改めたら次は私たちでは対処できないほどの兵士を用意してくるだろう。したら、もうこの話はなくなってしまうかもしれない。視線だけ周りに配らせて、誰も私を見てないとわかると誰も聞こえない程の小声で言葉を紡ぐ。
「そのときは、この街の市民が陛下の敵になるだけですよ。先だっての処刑騒ぎのようにね。しかもここには導師イオンがいる。いくら大詠師モースが控えていても、導師の命が失われればダアトがどう動くかおわかりでしょう」
「……私を脅すか。死霊使いジェイド」
不適な笑みを浮かべるジェイド。私はその場にいなかったけど、話には聞いている。市民がナタリアを庇い助けたと。誰もがナタリアに感謝し、ナタリアを愛した。その事を知っているからこそ悩むのかもしれない。
「この死霊使いが、周囲にいっさいの工作なく、このような場所へ飛び込んでくると思いですか」
「準備はいつでもOKですよ、ジェイドさん」
そこでみんな初めて気付いたようだ。私の周りにいくつかの魔法陣が浮いていることに。まあ、一番後ろでコソコソやっていたら気付かないだろうけど、と言うよりは気付かないようにやっていたんだけど。真咲!?とルークが声を上げ、ジェイドも少し目を見開きこちらに視線を向けていた。
「だそうです」
小さく笑みを浮かべ、再び陛下へと向き直りインゴベルト陛下の側に寄って一通の書状をアルバインに手渡す。これに世界に訪れる危機をまとめてあると。そして明日、改めて話をすると言う約束をつけて私たちはこの場を後にした。
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