35話 共に見る世界に
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「……ごめんなさい。わたしく、弱気でしたわね」
朝、集会所の前へ集まるとナタリアが小さく笑った。アッシュが、彼女を勇気づけてくれたから今こうして立っていてくれる。朝起きて会おうかとも思ったけどからかってしまいそうで止めた。
「では、バチカルへ行くのですね?」
「ええ。王女として……いいえ、キムラスカの人間として、できることをやりますわ」
イオンの問いに頷き、しっかりと決意を持った瞳でそう言った。王女だろうがなかろうが一国民として戦争など止め、世界の未来のために手と手を取る。そのためのできることをしたいと言うナタリアの思いにみんなも頷く。
「そういってくれると思って、今までの経過をインゴベルト陛下宛の書状にしておきました。外殻大地降下の問題点と一緒にね」
問題点?と首を傾げるアニスにイオンが……瘴気、ですねと少し声のトーンを落として言う。
「そうか。そもそも外殻大地は、瘴気から逃れるために作られたものでもあるんだよな」
「瘴気に関しては、ベルケンドやシェリダンだけではなく、グランコクマの譜術研究、それにユリアシティとも協力しなければ、解決策は見つからないと思います。でもそのためには――」
そこで一度言葉を止めてみんなを見回すジェイド。
「そうだ。まずはキムラスカとマルクトが手を組まないと」
「行きましょう、バチカルへ。お父様を、説得してみせますわ」
昨日のナタリアはもういない。支えてくれる人がいる、側にいてくれる人がいる。私はその場にはいなかったけど、彼女には王女とか関係なく慕ってくれる多くのバチカル市民もいる。民なくては国はないもの。それをナタリアは持ってる。その思いをみんな知ってる。
「行きますよ」
「はい」
毅然とした足取りで先頭を歩き出すナタリアの後を追うように歩き出すみんな。それを見つめていれば背中をぽんと叩かれる。しっかりと前を向いて私たちも外へと向かった。