35話 共に見る世界に
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「約束してくれないか?」
また唐突に何を言い出すんだろう。数回瞬きをして彼を見る。いつものような優しげな笑みを浮かべて私を見ている。
「今すぐとは言わない。もし、俺に少しでも申し訳ないとか、ジェイドに嘘を吐いたことに罪悪感があるなら……いつかちゃんと自分の正直な気持ちを伝えて欲しい」
この人はどうしてこんなに優しいんだろう。私に想い人がいるとわかっていながら思いを告げてくれたのに、私はそれを応えられなかったのに……一歩前へ進ませるような言葉を掛けてくれるのだろう。それが、申し訳ない。泣くのは卑怯。泣けない。
「……うん。ありがとう、ガイ」
「いいさ。君が笑ってくれるなら」
いつものガイだ。この方が安心する、とは今は言っちゃ駄目だよね。けど素直に嬉しいし、感謝している。
「でも、駄目だよ」
「何がだい?」
ロケット台から一緒に宿へと戻る。もう日は暮れていて辺りは暗くなっている。明日は早いしから体を休めないといけない。そんな道中で私にいきなり駄目と言われてガイは目を丸くする。
「こんなおばさんなんか、好きになっちゃ」
自分でも痛いことを言ってるのはわかってる。でも私はガイより五歳も年上だし、三十になるまでそう遠くはないし。言ってて虚しくなってきた。
「いや、君は俺より若く見える……真咲?」
「ガイ~?それ以上言ったら……殴るよ」
人が気にしてること知って言うとは不届き千万。なかなかいい度胸をしている。私が満面の笑みを浮かべて杖を召還する。そこでようやく気付いたのか、ハッとして顔色を変える。
「す、すまない!そんなつもりじゃ……」
「じゃあどんなつもりだー!」
杖を振り回す私と悲鳴を上げ続けるガイ。どうやら街中に響きわたったようでジェイドから説教を食らい、アニスにニタニタされ踏んだり蹴ったりでその日は就寝した。