35話 共に見る世界に
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「綺麗な歌声だったよ」
「そうさらりと言われると余計に恥ずかしいよ」
相も変わらずさらりと言ってくれる。自分の言葉にどれだけ威力があるのかわかってない。顔良し、性格良しで常に爽やかスマイルってそうそういないよ。これでモースに言われたら気持ち悪くて抹殺しちゃいそうだけど……ね。ストレートに褒められると照れてしまう。
「真咲は一人でここに?」
「うん、誰かいるかなって思ったけど誰もいなかった」
それと登ってみたかったのもあるんだ、と座ったまま答える。こんな風に上から自然の景色を見ることはないし。アルビオールからは別として。ただのんびりと、一点だけを見るのも悪くない。
「隣、座っていいかい?」
「あ、うん。どうぞ」
いつの間にか隣に立っていたガイ。断る理由もないから私がそう返せば、ガイはありがとうと言って一人分くらい空けて私と同じように腰掛ける。どうしたんだろう。別に話すのが嫌とかそういうのはないけど、ちょっとだけ雰囲気が堅いというか重いというか。いつものガイとはどこか違う。緊張、してる?私に?まさかね。
「どうしたの?」
膝の上で手を組んだまま水平線を見つめるガイに訊ねる。隣に座るくらいなのだから何か話があると思ったんだけど私の思い過ごしなのかな。
「……ありがとう」
「へ?」
こちらに顔を向けて微笑むガイ。突然お礼を言われて意味がわからない。礼を述べられるようなことをした覚えはないんだけど。寧ろ私が謝らなければならないことの方が多いはず。
「君は、ずっとルークを信じて見守ってくれてただろ?」
「それはガイもでしょ」
私は知っていたから。だから信じることが出来た。もちろん、生身のルークに触れて、本当に優しい子なんだとも実感してるからもある。進む意味を知った子供の成長は早い。まだ幼いからこそ見守りたい。事実を知ったガイだって同じ思いはあると思う。