34話 導きの標
夢小説設定
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「きゃぅっ!?」
「アニス!」
大きな地震と共にアニスの悲鳴がした。崖の側にいたアニスは揺れのせいでバランスを崩し、崖の方へと体が傾く。とっさに手を伸ばし崖の縁に生えている草にしがみつく。ティアがすぐさま駆け寄りアニスの手を取って引き上げようとするが、さすがに彼女一人の力では引き上げることが出来ない。視線をガイへと向けると躊躇いの表情を浮かべていた。けど、
「ガイ!?」
「……くっ!」
二人の元へと駆け寄りティアと一緒にアニスの手を取り引き上げる。離れた場所にいた私たちも三人の側へと駆け寄る。三人はそれぞれが信じられないとでも言うように目を開き、ティアとアニスはその目でガイを見る。
「ティア、ガイ……ありがとう」
「私は……それよりガイ、あなた……」
しばらくの沈黙の後、アニスが礼を述べる。けどティアはガイの方が気になるらしく、彼の方を見ている。
「……さわれた……」
座り込んだまま自身の手をじっと見つめる。触れるどころか、側に寄ることも出来なかったガイがアニスの手を取り引き上げる事ができた。少し泣きそうに顔を歪めてその後照れくさそうに小さく笑みを浮かべた。
「ガイさん!頑張ったですの!」
「よかったな、ガイ!」
ガイがこの事を苦しんでいたのをみんな知っている。しかも原因が原因だったから。だからガイが女性恐怖症を乗り越えたことにみんな祝福の言葉を掛ける。
「偉いですわ。いくら過去のことがあっても、あそこでアニスを助けなければ見損なっていましたわ」
「……ああ、そうだな。俺のせいでアニスに大事がなくてよかったよ」
「や~ん。アニスちょっと感動」
私たちではアニスから離れていた。ガイが助けに入らなかったら、アニスは崖から落ちていた。トラウマを克服したガイを感心して褒めたここまではよかった。この後、ジェイドとアニスによって雰囲気ぶち壊しになったのは見なかったことにしよう。