34話 導きの標
夢小説設定
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「全ては教えられないけど、君は死なないよ。それだけは断言する。君は自身の力で切り開くことが出来る」
私の横を通り過ぎ窓の前に置かれた机の前までいく。逆光になったせいかルーチェの表情は見えない。彼女が断言するのなら間違いはないのだろう。私は自分で未来を切り開く事が出来る、と言うならば私が成そうとしていることはいつか実ると言うことなのか。
「為せば成る……か」
何もしなかったら何も成らない。そうだ、何の為にここにいるのか、忘れていた。少しずつでいいから変えたいものがある。この先に起こる悲劇も止めたい。そう思っていたのに私は自分の事に囚われ過ぎて忘れていた。
「……うん、ありがとう」
「お礼を言われることは何もしてない」
ううん、あなたは思い出させてくれた。それに、
「ルーチェのおかげでみんなに彼に出会えた。だからありがとう」
「押し付けただけなのにね……ああ、先にこれは言っておくよ。君に音素がもう少し戻れば譜術も使えるようになるよ」
苦笑を漏らすルーチェの譜術が使える発言には驚かされ、その意味を問おうとしたが先にゆっくりと首を振られてしまった。ただ画面越ししか知らなかったのにこうして一緒にいられることは私にとっては奇跡。それが必然だったとしても奇跡以外の何物でもない。ここに来て知ることの出来た事。私がルーチェの転生として存在していなかったら知ることはなかった。
「……君は変わってるね、私なのに」
肩を竦めながらも、クスッと笑う。同じであって同じじゃない。私とルーチェは元の魂は同じでも違う人間。それは、ルークとアッシュも。全てを話すときが来たらそう言ってあげたい。
「そろそろ戻った方がいいね。ここは君が来たいと願えばいつでも来れるよ」
杖を構えて私へと向ける。杖の宝玉が赤く光る。
「これで魔術は使えるよ」
あれから体力的にも使えなかっただろうと。それをわかった上で今日のことを選んだんだろうな。
「ありがとう、ルーチェ…」
体が軽くなるのを感じる。それと同時に目の前のルーチェは消えて白の世界が広がった。