34話 導きの標
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「昼間は咲いてないんだな」
「ええ。セレニアは夜に咲く花だから」
谷を上って行き、ルークとティアがバチカルから飛ばされた場所へと来た。花は咲いていないけど、そこにはたくさんのセレニアの花が生息していた。
――真咲……真咲……
耳鳴り?何か耳の奥から音がしたような、気がする。
「……だ、れ?」
何でそう思ったんだろう。耳鳴りだと思ったのに人だと思ったの。私は、知っている?
――ここへ
ここって……今度はハッキリ聞こえた『声』に顔を上げる。
「……ここ、は」
先ほどまで辺り一面に生息していたセレニアの花は何処にもない。今、目の前に広がるのは古びた机と視界いっぱいに置かれた本棚。もっと簡潔に言うならば、部屋の中。全く見覚えなのない部屋の中に私はいた。初めてみた場所で少しカビ臭いけど、どこか落ち着くのは私が知ってると感じてるから?
「ようこそ」
ふいに掛けられた声。バッと振り返ると金色の髪を大きな帽子へと隠し、青い左目だけを覗かせた……私そっくりな少女が立っていた。顔は同じだ。自分でもわかるくらいそっくり。でも私は彼女を知っている。
「……ルー、チェ」
初めて会うのにその名は自然と口から出た。会うのは確かに初めて、だけど私は彼女を見ている。
「やっと会えたね」
小さく笑みを浮かべるルーチェ。同じ顔だけど雰囲気はまるで違う。ただ気になることは多々ある。私が質問するだろうと言うこともわかっているだろと、私もわかってしまうところは同じ魂の持ち主だからか。不思議な感覚だ。タタル渓谷に入ってからの落ち着かない何かはこれのことだったんだ。