34話 導きの標
夢小説設定
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シェリダンを後にし、タタル渓谷へとやってきた私たち。ここに入ってからか、なんか不思議な感覚を覚えた。これは何だろうと模索してみてもなかなかしっくりくる言葉が見つからない。嫌な感覚ではない。気になって仕方なくて辺りを見回すけど何かあるわけでもない。私はここに来るのは初めてだし、画面越しでしか知らない場所。この胸のあたりを擽るようなものは一体なんだろうか。
「何かありましたか?」
足を止めてじっと渓谷を見つめていると、気配なく隣に立つジェイド。先日のことが蘇り、一歩二歩と離れる私。この人の側にいるとろくな事がない気がする。心臓が保たないというか、常にドキドキさせられて顔に熱を持たされていて。何とも思っていない人ならともかく、好きな人だから質が悪い。
「……そうあからさまに避けられるとさすがの私も傷つきます」
「それは自身の心に疚しいことがあるからです」
ベルケンドのことは別として、ダアトでの『おしおき』には本当に参った。誰も見てないならともかく、ルークたちに見られたわけで。恥ずかしさでいっぱい。その後のことは面白かったけど。
「……またティアとナタリアに怒られますよ」
「それは勘弁願いたいですね」
身を守るように屈めて、更にもう一歩後退する。あの説教の後、今日もだけどルークたちがさり気なく私の隣に立つようにして庇ってくれている。私たちの想いがどうこうじゃなくて、ジェイドが私で遊んでると思ってるようで……違うとは言えなくて現に至るんだけど。
「それで何かありましたか?」
「いえ、何も……」
それに嘘はない。誰かに見られてる気もしたけど誰かいる訳じゃなくて。でも、何かあるような……『見えた』訳じゃない。だけど心が落ち着かない。何だろう……ワクワクしてる?