33話 踏み出す一歩の勇気
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「パメラさんは?」
「もう大丈夫みたいだ」
奥へと入ってくる一同にパメラの様子を聞けば、もう火傷の方はほ完治したという。パメラは怪我した自分のことよりガイのことの心配していたと。アリエッタの方を気にかけるアニス。イオンに言われたとおりにトリトハイム詠師に引き渡したと告げると、あの根暗女……とまあ、いつものアニスらしい口調を出す。
「ガイは……大丈夫なのか?何か思い出したみたいだったけど……」
座ったままだったガイを見れば彼は立ち上がり、こちらへと近づく。笑顔、とは言えないけど小さく笑みを浮かべる。すぐに険しい表情に戻ってしまったけど。
「……ああ。すまないな。あんな時に取り乱して」
「何を思い出したか、聞いてもいいかしら」
ティアの言葉に一端視線を下に向け真っ直ぐに前を見る。
「俺の家族が……殺されたときの記憶だよ」
その時のことを思い出しながら語り出す。誕生日に戦争が起こり、屋敷に兵士が押し掛けてきた。ガイのお姉さんやメイドたちは跡取りであるガイを守るために彼を隠し、庇った。
「斬られそうになった俺を、姉上がかばってくれた。姉上だけじゃない。メイドたちも、みんな俺をかばおうとして……」
その遺体の下で気を失ってしまったガイはペールが助けに来たときには、その時の記憶を失っていた。代償は大きかったということ。愛する家族も何もかもを失った。そのショックが記憶をも奪った。
「あなたの女性恐怖症は、その時の精神的外傷ですね」
「情けないねぇ。命をかけて守ってくれた姉上の記憶を『怖い』なんて思っちまうとは……」
忘れてはいけないこと。誰かがそう決めたわけではない。辛い記憶とは言え大好きな姉の事を忘れていたことのほうが辛いと言ったようにガイは苦痛の面もちをする。どちらにしても、悲しいことなのかもしれないな。