32話 たとえ罪と言われても伝えられぬ想い
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「急に胃に入れると凭れると思いましたので」
そう言ってジェイドが用意してくれたのは紅茶とアニスが昨夜作ってくれたというプリン。一週間くらい振りにシャワーを浴びてさっぱりして、久々の食事に歓喜が湧く。生きている……その事実を改めて実感する。
「……あの……私……死ななかったんですね」
「私が何もせず死なせると思いますか?」
何でそういう笑みを浮かべて言うのかな。さっきの告白から一時間も経っていないというのに。顔が熱くなる。人をからかって遊んでるんじゃないかって思うくらい。
「実はアッシュがディストの実験資料を持ってきてくれましてね。それを応用してあなたにある譜陣を敷きました」
ジェイドが言うには、施された音素を消すことは出来ないけど軽減させることは出来たと。右目から入り込んだ音素が私の体を駆け巡っていたせいで激痛を引き起こしていた。このオールドラントに来たときの、血中音素が人より少ない状態が私にとって100%の状態。
そこに無理矢理外から音素を注いだから逃げ場がなくて体を駆け巡っていた。しかも施された譜陣は私……とルーチェにしか効かない創世暦時代のものというし。何とも途方のない話。
「完全に助けられなくて申し訳ありません」
「いえ、十分です。あの状態は、結構辛かったですから」
出来ることならもう味わいたくない。あれならいっそひと思いに死んだ方がいいって思ってしまうくらい。
「ただ定期的に譜陣を展開させなければまた押さえつけた音素は復活するでしょう。あとこれを」
安心するのはまだ早いと言うことか。机の上から何かを取り、それを私を手渡す。紙に包まれた何か。
「痛み止めの薬です。まだ多少は体や右目痛むでしょう?」
一日一回は服用して下さい。と同じように包みを幾つか渡された。まだ材料はあるから作っておくと言ってくれた。まだ生きながらえられるなら、それも致し方ないと受け止めなきゃ。