32話 たとえ罪と言われても伝えられぬ想い
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「……わかりました」
私から手を離し、ベッドからも降りる。失っていく温もりがすぐに恋しくなり手を伸ばしたくなる。自分から手放しておいてなんて勝手なんだ。
「何か軽く食べた方がいいです。今、用意してきますので、その間にシャワーでも浴びていて下さい」
離れてから一度も私の顔を見ずにジェイドは部屋から出ていった。自ら下した決断にもう後悔してる。覚束ない足で床に足を下ろし、彼の出て行った扉の前に立つ。
「……ごめんなさい……ごめんなさい」
その場に崩れる。許されることのない謝罪の言葉を口にすれば、まだ微かに痛む目からは涙が溢れ出す。何度泣いたか。泣いて状況が変わる訳じゃない。でも、流さずにはいられなかった。
「……愛してる……本当は、愛してるのに……」
言えなかった言葉。アッシュもこんな気持ちなの?ナタリアに素直に思いを告げられないのは、あなたに時間がないと思ったから?
「なんで、私は……こんな体なの?」
2000年も前の人間の生まれ変わり。それだけならまだしも、ユリアとローレライに音素を封じられて普通の人とは全く異なる体。いつ死んでもおかしくない体。
「……もうすぐ、死んじゃう女の想いなんて……重すぎるよね」
出てくるのは自分を下愚するような言葉だけ。自嘲じみた笑いすら出てこない。傷つけた、大切な人を傷つけた。この罪はきっと永遠に残る。それでも想いは止められず、真実を告げることは出来ない。それはエゴだと言われても私の決めたことだから。
「……ごめんなさい、ジェイド。でも、愛してます」
告げられぬ想い。これで封印しなくちゃ。すぐには消せないだろうけど、それでも忘れなくちゃ。私が消えるのが先か、想いが薄れるのが先か。こんなのユリアにだってわからない。私はルーチェであってルーチェじゃない。この想いは私だけのもの……もう少しだけ、好きでいさせて?