32話 たとえ罪と言われても伝えられぬ想い
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「……どうして、そう思うんですか?」
再度私が問うとジェイドは私から離れる。私の頬に優しく触れ、何かを愛おしむ様に目を細めて真っ直ぐに私を見る。
「あなたを愛しているからです」
軽く頬をひと撫でして彼はそう言った。心の中で期待してしまった言葉。聞き間違いじゃないかとか思ってしまう。でも彼が醸し出す雰囲気が間違いじゃないと物語っている。愛してる……その一言が嬉しくて嘘みたいで、逆に怖かった。私は愛されちゃいけない。
「真咲?」
嬉しくても素直に喜べない。私は遠くない未来に消えゆく。だから、私自身の愛する人からの告白であっても私は……喜んでは受け入れてはいけないんだ。こんなにも想いは溢れるのに、今にもその胸に飛びつきたいのに。
「……ごめんな、さい」
そんな言葉しか言えない。涙が出そう。自分の想い人から想われてるのに、こんな事は本当ならあり得ないのに。それでも私の命の灯火はもう消えかかってる。そんな人間とそういう関係になったら、きっと辛くなる。だから忘れろと言い聞かせてきた。
「……私、まだ……忘れられないんです」
今までで一番大きな嘘。もう記憶の片隅くらいしか思ってない。私にとっては過去の人。でもそれしか理由付けられなくて、本当の事なんて言えなくて。私は酷い人間だ。私を想ってくれる人に嘘を吐くのだから。まだ私自身の体の状態なんて聞いてない。けどディストが命の保証はしないと言った以上、今は生きていたとしてもこの先長く生きていく保証は何処にもない。一分先の未来に私は消えてしまうかもしれない。
「それが、あなたの答えですか」
彼の顔が見れない。ただこくん、と頷くだけ。声に出せば全てを吐き出してしまうかもしれない。あなたが好き……その温もりが欲しいと大声で叫んでしまうかもしれない。だから、口にはしない。