32話 たとえ罪と言われても伝えられぬ想い
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「……今度こそ」
譜陣を展開し始める。慎重に術を施し、譜陣は真咲の体を覆う。ぱあっと真咲の体が光ると譜陣は消える。
「失礼しますよ」
閉じられた右目の瞼を軽く持ち上げると、彼女の瞳の色は緋色に戻っていた。戻っていたと言うのが正しいのかは別として。
「ジェイド」
乱暴に扉が開けられ入ってきたのは先ほど出て行ったアッシュだった。ベッドで眠る真咲を見て、近づく。
「成功したのか?」
叫び声が聞こえて心配で見に来たと。アッシュの問いにとりあえずはと答えるジェイド。
「今は睡眠薬で眠ってますから、目が覚めないと何とも言えません」
「……そうか。間に合ったのか」
ホッと息を吐くアッシュにギリギリでしたとジェイドも今になって深い息を吐く。
「全く、ディストも厄介なことをしてくれたものです」
「死ぬとわかっていて、ヴァンの奴は何をするつもりだったというんだ」
何か目的があったから、こんな実験を行ったはず。なのに真咲の姿を見たヴァンは生きていたかと言った。まるで死んでいるのが当たり前のように。
「上手くいけば、自分の手元にでも置くつもりだったのかもしれませんね」
ヴァンにとっても真咲の力はあるに越したことはない。特に未来がわかるなら、先回りは出来る。預言が当てにならない世界になってきたのだったら、番狂わせなことがあっても真咲の千里眼を使えば対応できる。
「……手放すなよ」
「二度としませんよ」
言われるまでもありません。と本心を隠したように不適な笑みを浮かべるジェイドにアッシュはちっ、と舌打ちする。
「では私は禁書の解読に入りますよ。このまま真咲のほうも経過を見ます」
ここにいても自分には何も出来ないとアッシュも任せたぞとだけ言って再び部屋から出ていった。