32話 たとえ罪と言われても伝えられぬ想い
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「今、助けてあげますよ……」
小一時間ほどでアッシュが戻り、その間にディストの起こした譜陣を反転させる譜陣を完成させた。アッシュから薬の材料を受け取り処方していきいざ譜陣を展開させようとしたときだった。
「いやあぁぁーっ!うっ……あぐっ!」
「真咲!」
右目を押さえ耐え切れぬ痛みにベッドの上で暴れ出す真咲。ジェイドが何度も呼んでも聞こえていないのか、ただ悲鳴と言うよりは叫び声を上げてベッドの上を転げ回る。
「……くっ!」
真咲の手を掴み、半ば無理矢理彼女の右目を覗き込むと普段は赤い瞳が赤黒く時には紫混じりの色を光らせた。
「やぁっ……うぅ……ああっ!」
アッシュの時間がない。これももう真咲の命が尽きるの時間の問題ということ。下手すれば数時間後にも死んでしまうかもしれない。
「真咲!」
何度呼んでも痛がり悲鳴を上げるだけ。こんなに暴れていては譜陣を展開させることは出来ない。暴れた拍子に譜陣から出てしまうかもしれない。
「……真咲……すみません……」
机の上から薬を一つ手に取り、それを口に銜える。謝罪の言葉を口にして、ジェイドは暴れる真咲の腕を押さえつけ彼女の唇を塞いだ。自身の口に銜えた薬を真咲の口の中へと無理矢理押し込む。痛みだけでなく苦しさからか暴れる真咲が段々と大人しくなっていく。押さえつけられている手からは力がなくなり、ぱたりとベッドに沈む。
「……隠し事ができましたね」
彼女の塗れた口元を拭い、規則正しく眠る真咲を見下ろす。
「アッシュに即効性の睡眠薬も持ってきて貰ってよかったですよ」
こんな形で唇を奪ったことを心の中で再度謝罪する。少なくとも、睡眠薬が効いてくれただけでもよかったと安堵する。ディストに連れ浚われてから寝食は取っていないと聞いていたせいか尚更だった。