32話 たとえ罪と言われても伝えられぬ想い
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「これは創世歴時代の歴史書……ローレライ教団の禁書です」
「禁書って、教団が有害指定して回収しちゃった本ですよね」
受け取った本を開き中身を確認するジェイド。教団で回収したその禁書をイオンから預かったと。導師ならその権限使って外へ持ち出させることも出来なくはないだろう。
「ええ。それもかなり古いものだ」
「あんたに渡せば、外殻大地降下の手助けになると言っていた」
ぱらりぱらりとページを捲り考え込む。難しい表情を浮かべながらも、視線は読む速度に合わせて動く。
「――読み込むのに、時間がかかります。真咲のこともありますし、話は明日でもいいですか?」
「いいんじゃないか?この中でその本を理解できそうなのはジェイドぐらいだし」
「頼むよ、ジェイド」
そう言い、アッシュを残す全員が部屋から出ていった。ガイが扉を閉め、足音が遠のくのを確認してアッシュが口を開く。
「どするつもりだ」
「丁寧に譜陣についての記述を残してくれています。これを応用して、体内の音素の流れを通常に戻します……ただ」
真咲を助ける方法を口にするが最後に言葉を濁す。
「完全に元に戻すことは出来ません。痛みも残ります。その処方箋は痛みを和らげるものです」
譜陣は真咲のみに効果があるもの。体の動きを封じるだけでなく血中音素の動きも封じるようなもの。一度流れ込んだ音素は簡単には取り除けない。
「ユリアの子孫であるヴァンだからこその方法ですね」
「……ともかく、助かるんだな?なら、これは研究所から取ってきてやる」
ベッドの上の真咲を一瞥して部屋から出ていくアッシュ。ジェイドはベッドの端に腰を下ろし苦しみに悶える真咲の黒髪をそっと撫でた。