31話 羽をもがれても望むべき光がある
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「……すまない」
「いいですよ。ちょうどそのチャンスもやってきたようですし」
謝るガイから牢の外に顔を向ければ彼らもつられるようにそちらへと顔を向ける。
「アッシュ!」
「今出してやる」
兵士から奪った鍵で牢を開ける。私たちが外に出ると武器も取り戻してくれたらしく少々乱暴に地面へと投げつけた。相変わらずというか何というか、眉根を寄せたままで行くぞと来た道を戻っていく。
「私たちも行きましょう」
「ルークとナタリア……無事かしら」
二人の弁明を待たずに処刑するのならもう十分時間は過ぎている。僅かな希望を持ちながら、先を走るアッシュを追いかける。彼なら二人の居場所を知っているでしょう。七才までしかこのバチカルにいなくても城への出入りはしていたはず。
「こっちだ」
人気のない道を選び、目で合図をし早く来いと促す。
「あとは任せたぞ」
「おまえは来ないのか」
この階段を上がって一番突き当たりの部屋に二人はいると言って去ろうとするアッシュにガイがここまで来て逃げるのかと問う。アッシュはまだやることがあると別の方向へと今度こそ去っていった。
「アッシュにはアッシュの考えがあるのでしょう」
「早く行こうよ!」
今はアッシュのことよりルークとナタリアです。と言えば、そうだなと気持ちを切り返すガイ。ルークのことはともかく、あのアッシュがナタリアが処刑されると聞いて放っておくわけがありません。ならば二人は無事と考えてもいいはずだ。
「あ!見張りがいるよ!」
「私が…」
彼の言う突き当たりの部屋の扉の前には見張りらしき兵士が二人。少し離れたところからティアが譜歌を歌う。ナイトメアの効果で見張りの兵士は声を上げることなくその場に崩れ落ちる。
「よし!行くぞ!」
妙な胸騒ぎは治まらない。先ずは目先のことをとわかっているのに……どうしても彼女の安否が心配でならないまま、二人の閉じこめられている部屋へと入った。