31話 羽をもがれても望むべき光がある
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「くそっ!」
バチカルに着くや否や牢へと入れられた私たち。何も出来ることもなくただ時間だけが過ぎていくことに苛立ちと憤りを感じるのかけして開くことのない牢に拳をぶつけるガイ。ここに閉じ込められてすでに二時間近くは経っているだろう。私たちとは別に連れて行かれたルークとナタリアの安否は確かに心配だ。だが……
「ガイ。ここで苛立っても仕方ありませんよ」
「あんたはずいぶん冷静だな。真咲はディストに捕まってどうなってるかわからない。ルークとナタリアは今にも殺されそうだってのにな」
怒りの矛先を私へと変える。そう言う風に煽ったのは私自身なのですがね。ですがここで私たちが冷静さを失ったら助けられるものも助けられない。と言うのがわからないのですかね……いや、違う。これは私だからこう考えるのだろう。ガイにとってルークとナタリアは幼なじみでしたね。誰よりも心配だということを忘れていました。
「大佐は真咲が心配なんですよね?」
私の隣に座るアニスがふいにそう訊ねてきた。それを聞いてガイがアニスではなく私を見る。
「心配ですよ。連れて行ったのが連れて行った人物だけに」
正直言うならば今にも処刑されそうになっているルークとナタリアより心配だ。嫌な予感がしてならない。不安が募って仕方ない。助けに行けるものなら今すぐにも助けに行きたいがそれもままならない。焦っても何も出来ないことなどわかりきっているからだ。
「ですがここで焦っては千載一遇のチャンスを逃すことになります」
我ながらよく言ったものです。心の内を知られなくないから誤魔化すことしかできない。この年になると矯正が効かないのでしょうね。以前ならもっと関心を持たなかったは確かでしょうが。私が変わったとしたらそれは彼女とルークのおかげかもしれませんね。