31話 羽をもがれても望むべき光がある
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「……っ!?これは……ちっ!」
アッシュは手に取った紙の束を見て声を上げる。それを机には戻さず、法衣の中に入れて私の元へと戻ってくる。
「おまえを奴らの元へと連れて行く」
「ノエル…が……」
私よりまずはノエルを。巻き込まれてしまったのは彼女のほう。アッシュはイオンから禁書を預かりノエルを救出しに来たはず。
「あいつなら既に助けてすぐに出発できるように用意させてる」
これからバチカルに向かう。そう言ってアッシュは私を抱き上げた。体を這うように駆け巡る痛みに思わずアッシュの法衣を力いっぱい握ると、アッシュはまた舌打ちをして歩き出した。
「しばらくは我慢しろ。死霊使いなら何とか出来るはずだ」
その名前に鼓動が高鳴った。それだけでそうなるなんて私はどれだけ重症なんだ。会いたい……でも会えない。ううん、会えないと言うよりはこの姿を晒したくないというのが本音。こんな情けない姿を見せるなんて。何を言われるか、と言うよりは無言で圧力を掛けるように怒りを露わにしてくるかもしれない。
「急ぐぞ」
私を抱き抱えたまま走り出す。のんびりしてる暇はないから、私の体に気を使っていられないと言うことだろう。元よりそれで構わない。アッシュが行かないとルークやナタリアに危険が迫ってしまう。
「ルーク、とナタリアを……助けて……」
「黙ってろ!」
ここからバチカルまでどれくらいかかるのだろう。飛行譜石はディストに取られてしまっているから飛ぶことが出来ない。水上走行だと何日掛かるのだろうか。私を助けたと言うことで間に合わないなんてことがあってはならない。
「……お願い」
私という存在がシナリオという預言が崩れることは殆どなかった。けどこんな所で狂ってルークたちに何かあるなんて絶対に嫌だ。あってはならない。だから、間に合って欲しい。