31話 羽をもがれても望むべき光がある
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「……う、うぅ……ぐっ……!」
あれからどれくらいの時間が過ぎたのだろう。痛みは止むことなくディストに何かされてからずっとこの痛みと戦っている。右目から体中に駆け巡るこの痛みのせいで眠ることも何かを食することも出来ない。
「……おい。あの女、大丈夫なのか?」
「ほっとけ。ディスト様も言ってただろ。元々命の保証はないってな」
私を見張る兵も絶えず悲鳴を上げる私に気味悪いと愚痴るがこっちはそれどころではない。こんな所で死ぬのかなんてことまで頭の中をチラついてくる。この命が消えるまではみんなと一緒に旅を続けることを決めた。諦めたくはない。でも痛みが私の決意を崩そうとする。
「……あっ!アッシュ特務師団長!」
「どうか……ぐぁっ!!」
なに?なにが起こった?地に伏せた状態から、左目だけを開けて扉の方を見上げると見えたのは紅。訳もわからずにいれば上半身だけが宙に浮くような感じがした。
「まだ生きてるな」
「……あ、しゅ?」
左目に微かに映ったのはアッシュだった。相変わらず眉間に皺を寄せているその表情に安心してかふっと笑みが零れたのが自分でもわかる。
「何があった?」
「アッシュ…こそ……どうして、ここに……?」
本来ならここにいるはずがない。イオンに頼まれてノエルを助けてバチカルにみんなを助けに行く筈なのに。なのにどうしてここにいるんだろう。
「導師に頼まれた」
「イオン、様に……」
私が捕まったことを聞かされたのか、たまたま聞いたのか。けど助かったと思うべきなのだろう。
「ディストはおまえに何をした?」
「よくわから、ない……譜陣……音素……」
痛みのせいで上手く言葉が紡げない。アッシュも何が言いたいのかわからないみたいで、一度私を地に寝かせ、紙が散らばる机へと足を向けた。もしかしたら何か手掛かりがあると踏んだのだろう。