31話 羽をもがれても望むべき光がある
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「……な、なにを…するの?」
目に見えない恐怖が支配する。ここに居ては駄目だと警告音がする。掴まれた両腕を外そうとしたがどうガッチリ掴まれていて動くことができない。良くないことが起こるのはわかるけどその実態は知れなくて、心臓だけが別の生き物のようにどくんどくんと鳴っている。
「ある実験に付き合ってもらいます」
ただ命の保証はありません。恨むならヴァンを恨んで下さい。一歩二歩と私に近づくディスト。私を捕らえていた兵士はディストが視線を向けると私から手を離す。
「……や、だ……やめて……」
命の保証。ヴァン。実験……と色々単語が頭を駆け回る。何をしようと言うのだ。ううん、知ってる。そう、知ってる。
「……これって」
気付いたときにはもう遅い。ディストがやったのか私の足下に譜陣が展開された。ディストが譜術を使える、使うイメージがなくてそれにまず驚く。その譜陣のせいなのか体は自由なのに動けない。
「その譜陣はあなたにしか効果がありません」
「私、だけ?」
私にしか効果のない譜陣って。そんな事が……出来ないとは言い切れない。ディストはジャンルが違うとはいえ天才と呼ばれている。それにヴァンが居る。ユリアの子孫であるヴァンなら何かしらの方法を使って『私』のみを封じることができるかもしれない。
「あとはこれを」
「それは……!?」
ディストの右手に赤紫のような色の光。いや、これは音素だ。目に見えるくらい高濃度な音素。でも見たことがない色だ。また鼓動が早くなる。これが何なのかなんてわからない。
「これはあなた用に調合した特別な音素です……運が良ければ生き残れますよ」
「い、いやあぁぁぁーっ!!」
音素を私の右目へと流し込むように当てる。音素はゆっくりと私の中へと入っていく。それと同時に未だかつてない程の痛みが右目を頭を体中に走った。一瞬、意識が飛びそうになったけど痛みのせいてすぐに現実へと戻された。
その場に崩れる私は必死に痛みに耐える。うっすらと開けた左目にはディストが兵士に何かを告げて出ていくのが確認できた。その後は痛みに支配されてわからなかった。