30話 蝕む闇に近づく者へ
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「ルーチェが、譜術士だったからですか」
「おそらくは。彼女が譜術士としても優秀だったのならあなたも受け継いでいてもおかしくはありません」
無意識とはそう言うこと。元々持っていたものだから使えないことはないと言うことだろうけど。私の中のルーチェが魔術を発動させながら譜陣まで展開させていたなんて。
「ルーチェって凄いんですね」
「それより体に異変はありませんか?」
無意識とはいえ譜術を使ったことに変わりはないから心配してくれてるんだ。体に異変も不調も感じられないから大丈夫だと返す。まだまだわからないことだらけな事に頭を悩ませそうだけど今はパッセージリングをと先を歩いているルークたちの後を追う。
「ほわ~、ひろ~い!たっか~い!」
遺跡の奥へと進みセフィロト内をさらに進むとようやくパッセージリングの前に辿り着く。
「どうしたの、ルーク」
「こんな物の上に暮らしてたなんて、信じられねーやと思って」
パッセージリングを見上げるルークが考え深そうに呟く。魔界の現状を目の当たりにしたからこその感想。あれだけの大陸が浮いてるのであればそう思っても不思議ではない。
「でも、これが事実よ。人間は自分の範囲にあるものしか目に入らないのね」
目の前にあることだけが事実ではない。全ては目に見えないところで起きていることの方が多いのだから。
「……しかし好奇心、知識欲は、時として要らぬ事実を人に突きつける」
「外殻大地と同じだな」
「それでもわたしくたちは見てしまったのですから、現実から逃げる訳にはまいりませんわ」
見たもの全てを受け入れるのは覚悟のいること。これから私が彼らとともにすることはそう言うこと。
「……急ごう。崩落は、俺たちを待ってはくれねぇんだ」
ルークの言葉にティアが頷き、パッセージリング前の譜石へと歩き出す。