30話 蝕む闇に近づく者へ
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「こいつは一体……?」
「創世記の魔物じゃないかしら。以前ユリアシティにある本で見たことがあるわ」
ただこんなに好戦的ではなかったとティアが続ける。動かなくなったティランピオンは光を放ち綺麗さっぱりと消滅した。
「大佐ぁ」
「何ですか、アニス?」
はいはーい、と挙手するアニスに一斉に視線を向ける。
「さっきのは一体何だったんですかぁ?」
「さっきのって…」
「真咲ことね」
アニスが聞きたいのは私も不思議に思っていたこと。魔術を使った際に何故か発生したFOFの反応。まさかと思いながらもアニスが技を出せば変化が起きた。音素を含まない私の力でFOF変化が起きたことには全員が疑問に思ったはず。
「真咲が譜術を使おうとしたのですか?」
「いえ……真咲の体では理論上難しいです」
血中音素が少ない私の体では譜術を使うのは無理だろうと。譜術が使えないと言うわけではない。無理をして使えば只でさえいつ乖離してもおかしくない体は簡単に乖離して消えてしまう恐れがある。そうジェイドは説明した。
「なら何で?」
「私、譜陣の展開のさせ方もわからないんですよ」
「……確信の得たことはわかりませんが、たぶん無意識でしょう」
何故、無意識で使えたのかもわかりませんがこれ以上の事は私もにわかりませんし論議をしている時間もありません。確かに今、細かく話をしている暇はない。やるべき事をやらなくては。
「ジェイドさん?」
「皆さんには言いませんでしたが、憶測ですが『ルーチェ』が関係していると思います」
みんなが先を歩きだしたのを確認してか歩きだそうとした私の手を取って止めたジェイドが小声でそう言った。ルーチェの名に言葉を失いそうになったけど妙に納得もしてしまった。