29話 暗闇に落とされても明けぬ夜はない
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「俺も詳しくは知らない。前に被験者イオンに聞いたのは、遠くない未来に自分らに仇なす存在となると言っていたのは覚えてるが……あとは」
聞いたのが相当前だったのか必死に思い出そうとしてくれる。仇なす存在……邪魔をする存在と言うことか。ならヴァンがカイツールの軍港で神託の盾に誘ったり、アクゼリュスで私を斬ったのはそれが理由?未来を知るならばそれを止める存在、と。
「……預言でもない。これから自分たちがしようとしていることでもない未来へと導く存在。そんな事を言っていた気がする」
その話を聞いたのはもう五年近くも前のため余りよく覚えてはいないと言う。ヴァンがいる限りはそんなもの危惧する必要はないとその時は思っていたと、少し辛そうに答えてくれた。
「……そっか。ありがとう」
「大丈夫なのか……おまえ?」
十分だ。私という存在が預言に詠まれていたことはすでに聞いてるし、他にも伝えがあったことも聞けただけでも収穫だ。被験者も知っていたことならヴァンやモースが知っていても不思議はない。それ以上問うことなく礼を述べれば、アッシュは意外そうに目を瞬きさせそう聞いてくる。
「情報は少しでもあればいいと思ってたし、元の情報が古いからね」
その辺りが曖昧なのも仕方がない。根拠はないけどこの旅を続けていればいずれ全てを知ることになると思う。未だにルーチェという人物像が読み取れないけどね。
「時間、か」
私にもどれくらい時間があるんだろう。長いか短いか。まあ、たとえ短くても足掻かせてもらうけど。この先のことをこの目で確かめたい。ルーチェの事も込みで。もちろん未来のことは私からは口は出さない。でもそのままにはしておかない。
「アッシュ。ありがとう」
「さっさと行け。グズグズするなよ」
もう一度、お礼を言えばアッシュは今度こそ去っていった。少々時間を取らせてしまったから急がないと。