29話 暗闇に落とされても明けぬ夜はない
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「アッシュ」
ここでこれを聞くのはみんなに不審がられるだろうけど、アッシュと話せる機会はけして多くはない。次に会うのはバチカル、ベルケンド。そう遠くはないけど出来ればバチカルに行く前に聞いておきたい。あそこには……モースがいるから。
「ちょっとだけ、いい?」
「おい!?」
このままだと返事もせず去っていきそうな雰囲気もあったからその前に彼の腕を取ってみんなから少し離れる。正直みんなの視線が痛いけどそれより聞いておきたいという方が強いから今は放っておく。
「何だ!離せ!」
無理やり引っ張ってくるとアッシュは私から腕を振り解く。なんか顔が赤いよな……ナタリアの前でだったから照れてるのか。でもアッシュのことだから怒ってそう。
「聞きたいことがあるの」
「聞きたいこと?」
用がなくて呼び出すことはない。私が聞きたいことがあると言えば眉を寄せる。
「……『導きの標』って知ってる?」
モースが言っていた言葉。イオンも知ってるようだった。彼からは全て聞いたつもりだったのに、どうやらそうじゃなかったみたいだ。アッシュもそうなのか、その意味を知ってるのかが知りたい。自分のことなのに何一つ知らなくて実は私はルーチェの転生者じゃなくてルーチェのレプリカだったんじゃないかって。それはないとは思うけど。最近、というかオールドラントに来てから色々あり過ぎて頭の中を整理しきれない。それは私の許容量の問題だけど。
「誰から聞いた」
「モース。でもイオン様も知ってるぽくて」
さっきケセドニアでと。先ほどあったことを話す。言うか迷ったけど一応ナタリアのことも。事実は知っているだろうけど、今は彼女自身も辛い思いをして沈んでいることを知って欲しかったから。何かしろって言うんじゃない。心の隅でいいから気に留めておいて欲しいだけ。