「やっと来たか……」



オアシスの泉の前に行くとそこにはアッシュの姿があった。相変わらず眉を寄せて不機嫌そうだ。



「話ってなんだよ」
「何か変わったことが起きてないか？意識が混じり合って、かき乱されるというか……」



少し喧嘩腰のルーク。けど当のアッシュは言いづらそうに言葉を少し濁すようにルークに問う。普段と様子の違うアッシュに調子が狂うのかルークもさすがに表情を変える。



「はぁ？意味わかんねぇ……おまえが俺との回線を繋いでこなければ、変なことは起きねぇし……」



あまりに唐突なアッシュの言葉に理解できないとより首を傾げる。常に喧嘩ばかりしている二人とは思えない状態にガイやティアたちも何事かと首を傾げる。



「……そうか」
「アッシュ。何かありましたの？どこか具合が悪いとか……」



ルークから視線を逸らし呟くアッシュにナタリアが心配そうに声を掛ける。それに対してチラリとナタリアを見た後、また視線を外して別に、と返した。既にビッグバンの予兆がある。アッシュの心配とは実際は違うんだけど、今体に起きていることの本当のことはまだ知らない。私も言ってないし今は言うつもりもない。



「おい、それだけかよ」
「……エンゲーブが崩落を始めた。戦場の崩落も近いだろう」



意味の分からないことを聞くだけかとガイが少し不機嫌気味に言えば、今度はエンゲーブが崩落し始めたと教えてくれた。あのまま街にいれば崩落に巻き込まれていた……いや、先ほどアスターの元にキムラスカ兵がエンゲーブに到着したと報告があった。



「このままでは戦場にいる全員が死んでしまいますわ」
「馬鹿野郎！ここにいたら、おまえも崩落に巻き込まれて死ぬぞ！」



自分の心配より他人の心配をするナタリアにアッシュが怒鳴る。おまえもってやっぱりアッシュに取ってはナタリアが一番なんだね。いやいや普通に安心したけど。突き放すような態度を取ってるけど心配で仕方ないんだね。