29話 暗闇に落とされても明けぬ夜はない
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「……いてぇ……!」
アスターに崩落の危機があることを説明して住民のことを任せ、私たちはアスターから外へ出る許可を得てザオ遺跡へ行くために出口に向かう途中、ルークが頭に手を置き呻き声を上げた。
「……オア……シ……ス?」
アッシュと会話してるんだ。アッシュ、か。ちょっとだけ話がしたいんだけど大丈夫かな。聞きたいことがあるし。
「また例の頭痛か?確かアッシュの声が聞こえるんだったな」
「……ああ。俺、あいつのレプリカだから」
声が止んで頭から手を離すルークにガイが声を掛ける。アッシュの名を聞いたナタリアが俯いていた顔を上げた。
「アッシュ……!アッシュは何て言っていましたの」
「え……うん……砂漠のオアシスに来いって。話があるってよ」
ナタリアの剣幕にルークは驚きながらも短い会話の内容を伝える。ティアがヴァンが裏で手を引いているのではと勘ぐるがジェイドも一概に味方とは考えにくいと首を振る。ともかく、アッシュの話を聞きにオアシスに寄ろうというルークの言葉に私たちは頷き街の外へと出た。
「真咲」
不意に声を掛けられてそちらに顔を向ければ側に寄ってきたジェイドがいた。
「何ですか?」
「……先ほどのを気にしているのかと思いましてね」
先ほどの……ああ、モースの言葉か。導きの標って……私のことなんだよね。モースが何で知っているのかは今はわからない。
「今は、気にしてもどうしようもないので、目の前だけを見ますよ。考えるのはザオ遺跡に行った後です」
「にしては浮かない表情ですよ」
相変わらず目敏いと言うか何て言うか。それだけが憂いではないけど。
「今に始まった事じゃないですよ」
きっと彼はまた怒るかもしれない。そう思い、私はぎごちない笑みを浮かべて先を行く仲間の元へと足早に向かった。
お願いだからこれ以上、私の心を見透かさないで、と。