29話 暗闇に落とされても明けぬ夜はない
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「ジェイドさん。私が」
「ええ、では憲兵を呼んできて下さい。真咲」
このまま放っておいても展開は変わらないけど、じっとしてるのもなんか嫌だ。あとはアニスに仕返しする訳でもないけど踵を返して来た道を戻ろうとする。
「待ちな」
一歩二歩と歩きだしてすぐに少し焦りの混じった声で制止を求めるノワール。足を止めて肩越しに振り返る。
「……いいだろう。あんたたちを通してやるよ。その代わりこのことは誰にも言うんじゃないよ。戦争で国境を封鎖されて、困った挙げ句にここを通る連中もいるだからさ」
「ありがとう」
これ以上は自分たちの商売の邪魔になると察したのだろう。ここを通すのだからこれくらいの条件を飲んでも当然だろと言う。店員が扉の前から退くとルークは素直に礼を述べる。一瞬、驚いた顔をしたノワールはばつの悪そうな表情に変えそっぽを向いた。
「大変だ!ザオ遺跡が!……」
「……何!わかった。ここは封鎖しておく」
酒場を通りキムラスカ側に出てきた私たちはバチカルへ向かうために街の出入口へと足を進める途中その出入口前でキムラスカ兵が騒いでいた。その後すぐに出入口は封鎖されてしまい街から出られなくなった私たちはティアの提案でアスターの屋敷へと向かうことにした。
「これはルーク様!ナタリア様も!お二方とも亡くなったとの噂が飛び交っておりましたから、こうして再会できて幸せでございますよ。ヒヒヒヒヒ」
相変わらずというか、怪しさ大爆発だ。けど彼にはまだ伝わってないのかルークやナタリアのことが。案外それはイオンが上手く口止めしてるのだろう。
「実はあなたに頼みたいことがあるのですが」
長話をしている場合ではない。今急ぐべき事をやるために彼に頼まなくてはならない。心だけが焦りを覚えてならないのはたぶん私だけではないと思う。