29話 暗闇に落とされても明けぬ夜はない
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「此度の戦いが誤解から生じたものなら、一刻も早く正すべきではありませんか!」
「それに、戦場になっているルグニカ平野は、アクゼリュスと同じ崩落……消滅の危険があるんだ!」
ルークとナタリアが一分一秒でも早く戦争を止め全員を避難させようと懸命にアルマンダインを説得する。両国の兵士によって閉じられた国境を開けるようにナタリアが命じる。そこへ……厭らしい笑みを浮かべて前へと歩み出るのはモース。
「待たれよ、ご一同。偽の姫に臣下の礼を取る必要はありませんぞ」
「無礼者!いかなローレライ教団の大詠師と言えども、わたくしへの侮辱は、キムラスカ・ランバルディア王国への侮辱となろうぞ!」
今まで沈黙していたモースの耳を疑うような一言。瞬時に、怒りを露わにするナタリア。彼女の一喝は当然、モースには痛くも痒くもない。この先の言葉を聞いたらいくら知っているからとは言え、こいつを殴り飛ばしてしまいそうだ。もちろんそんな事は出来ないし、やらないけど。聞かせたくない……でも避けては通れない道。遅かれ早かれ知ることにはなるかもしれない。
「私はかねてより、敬虔な信者から悲痛な懺悔を受けていた」
曰くその男は、王妃のお側役と自分の間に生まれた女児を、恐れ多くも王女殿下とすり替えたというのだ……と厭らしい笑みを浮かべたまま、わざとらしい言い回しで話す。敬虔な信者の懺悔?それは違うでしょ!全て預言のせいだ!と叫んでやりたいのを行き場のない怒りを拳を握って耐える。
「でたらめを言うな!」
モースの言うことはでたらめだ。バチカルの時と同じように、預言通りに事を進めたいから嘘偽りを言っている。たぶん、みんなもそう思っているだろう。あれだけ信頼してたティアだって今ではもう信頼なんて欠片ほどもないだろう。