29話 暗闇に落とされても明けぬ夜はない
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「アルマンダイン伯爵!これはどういうことです!」
国境まで来るとそこにいたのは両国の兵士と国境の向こう側にいるアルマンダインとモースの姿。モースはともかく、アルマンダインはナタリアとルークの顔を見るなり顔色を一気に悪くした。死んだはずの人間が目の前に現れればそうなるのもわからなくない。
「わたくしが命を落としたのは誤報であると、マルクト皇帝ピオニー九世陛下から一報があったはずですわ!」
それはわかっているはずだろう。ピオニーがそれをしてないわけがない、けど。
「しかし実際に殿下への拝謁が叶わず、陛下がマルクトの策略であると……」
「わたくしが早くに城へ戻らなかったのは、わたくしの不徳の致すところ。しかしこうしてまみえた今、もはやこの戦争に義はない筈。直ちに休戦の準備にかかりなさい」
焦ったような表情を浮かべるアルマンダインにナタリアが王女として詫びの言葉を述べ、被害をこれ以上増やさないために戦争を止めるように威厳に満ちたしっかりとした凛とした声で命令する。ただ怖いのはモースがいるのに何も言わない……ということなのだけど、わかっているからなお辛い。
「アルマンダイン伯爵。ルークです」
「生きて……おられたのか……!」
ある意味、画然としないのがこの一言。ナタリアのことは知っているのにルークの事を知らず、ナタリアの事以上に驚くこの様子。ピオニーからはナタリアもルークも生きていると報告が行っているはずなのに……ルークは絶対に死んでいる前提だったと言っているようなもの。
「アクゼリュスが消滅したのは、俺が――私が招いたことです」
非難されるのはマルクトではなく、自分だと自らの罪を告白する。騙されたは言え、パッセージリングを壊してアクゼリュスを崩落させてしまったのは事実なのだ。でもね、ルーク。不謹慎かもしれないけど、ちゃんと自分の罪と向き合って認めることが出来るようになったことはすごい成長なんだよ。