29話 暗闇に落とされても明けぬ夜はない
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「ジョン。何処にいるの?」
「母ちゃん!こっちだよ!」
人混みから現れたのは先ほど別れたばかりのミリアムさん。
「あんたは……」
「あら、皆さん」
彼女の姿にルークが目をぱちぱちとさせる。ティアとジェイドも驚いたように瞬きをする。ミリアムさんを知らないガイたちは誰だと私らに視線を向けた。
「母ちゃん。このお姉ちゃんだよ。おいらや父ちゃんを助けてくれたの」
「まあ……私だけじゃなくてこの子やうちの人まで……」
ミリアムさんの側に寄り服を引っ張るジョン。まさか私もこういう形での再会は思っては見てなかったけど、こうしてアクゼリュスの住民が助かった姿を目の当たりに出来たのは安心する。
「ありがとうございます。あなた方は私たち親子の命の恩人です」
「いえ……気にしないで下さい」
当然とは口に出来ない。でも親子が生きて再会してくれたことは素直に嬉しい。ミリアムさんとジョンはもう一度礼を述べて去っていった。
「あの人の子供だったのか」
「てか知り合い?」
「エンゲーブの住民ですよ」
事の経緯を説明するとナタリア組みの四人ははぁ、と感嘆の息を吐く。ミリアムさんがパイロープさんの奥さんでジョンの子供と知っていたけど、まさかケセドニアで再会する事になるとは思わなかった。
「あなたが思っている以上に救われた人はいるんですよ」
親子を見送っていると不意に上からの声。私の心を読んだかのように。一生背負う、引きずると決めた思いを感じ取り、実際に助かった人の姿を見て安堵する私に十分だとも言ってくれてるのか。
「……はい」
自分が云々じゃない。あの親子が無事に再会できたことが嬉しい。パイロープさんもジョンも本当なら死んでいた。けど生きて、こうしてそれを見れたことに涙が出そうになる。罪に苛まれるのなんて構わない。ただただ変わってくれた未来に感謝したい。