28話 その手を汚すのは…誰が為?
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「いいんです。もちろん私も死ぬつもりはありません。ケセドニアに行くまでは…」
「こちらの旦那さんは、アクゼリュスの鉱山で働いてたんだよ」
私が知っているのとはセリフが違うのは、アクゼリュスの住民の半数以上が助かったから…?記憶の限りでは確かジョン、君が魔界の泥の海に父親であるパイロープさんと沈んだということはないはず。あの時は目が見えなかったとはいえルークより先に意識は戻っていたのだから、見逃す……聞き逃すってことはないはず。
「丁度、息子が主人に会いたいとあの街に滞在しているときに、消滅事件が起きて……」
「……あ……あの……」
表情に影を落とすミリアムさん。それにルークが何か言いたげに口を開く。アクゼリュス消滅……私が止められなかったとはいえ、事を起こしたのはルークだからかショックを隠せないんだ。
「あなたの家族が生きている可能性があるのならあなたは生き延びなければなりませんね」
「……はい……」
まだ生きているかもしれない。その希望を捨てなければ……そんな思いを乗せて自身が生き残らなければならない。あとはティアに任せ、ミリアムさんたちは迎えに来た兵士たちと隊列へと戻っていった。
「ジェイド!どうして謝らせてくれなかったんだよ!」
「ルーク!待って!」
「今ここで真実を告げて、無用な混乱を招きたくありません」
罪悪感から逃れたいのでしたら後日、あの方が村に戻られた時にでもお願いします。と淡々と感情なく言い放った。いつになく厳しい言葉。
「そんな言い方しなくてもいいだろ!」
ルークの思いもジェイドの正論もどちらもわかる……だけど、ううん。どう言葉を繕うとも今はそのときではない。問題はルークの言うとおり言い方。もう少しオブラートに包むという、こう言うときだからこそどちらにも気を利かすような言い方が出来ればいいのに。