28話 その手を汚すのは…誰が為?
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「ここは通さない……大地よ!彼の者らを捕縛せよ!」
杖を振るい地に打ちつける。地面はキムラスカ兵へ向けて走るかのように割れる。数人のうちの半分はこの術によって足が取られて身動きが出来なくなる。異変を感じた他の兵士は横へと飛び退ける。そして構えた剣を私へと向け走り込んでくる。
「…くっ!……風よ、凪げ!」
出来ることなら殺したくはない。覚悟を決めても決めきれなくて甘さが出る。私の術の効果がいつまで持続するかはわからないけど少しでも時間稼ぎになるのならと足止めのほうを選んだけど、そんな上手く行くわけはない。風の術は一人の兵士の体を引き裂く。体の至る所から血を流し絶命するキムラスカ兵。それを見た他の兵士は怒りと恐怖からか我を失ったように私へと襲い掛かる。
「霧島少佐!」
誰かが私を呼ぶ。一気に間合いを詰めてきたキムラスカ兵に今から反応して魔術を詠唱しても間に合わない。これまでの経験からか瞬時に杖を消し腰の剣へと手を伸ばす。そして、勢いのまま剣を鞘から引きそのまま横に凪げば目の前まで迫っていた兵士の胴を斬り裂く。胴の半分は斬った……絶命するのも時間の問題。
「……ごめんなさい」
人を殺めるのに感情を殺さない。ジェイドとの約束。何も感じないまま殺してしまえば、私は人としての感情を一つずつ失っていくだろう。
懺悔の言葉は自分の罪を軽くするため。彼らに対して申し訳なさがないわけじゃなくても、どんな理由でも殺人を正当化させるための言葉。更に襲いかかるキムラスカ兵を斬りつける。
「紅蓮の業火よ、我が声を聞き、我が命に答えよ!」
身動きのとれない兵士に地に伏せる兵士に向けて再び魔術を浴びせる。炎に包まれた兵士らは一瞬、断末魔のような叫び声をあげて息絶える。というよりは燃え尽きた。以前にシンクに使った術とはいえ相手が違うだけでこれだけの差が出るのか……直視して初めてわかることだった。