28話 その手を汚すのは…誰が為?
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「今日もキムラスカ兵と遭遇しなきゃいいな」
祈りというよりは願い。口にするわけにはいけないけど、今日は嫌な予感がする。キムラスカ兵もだけど魔物とも遭遇しないとも限らない。ようやく搬送を終えた一個小隊が追いついてくれた。これでもしもの場合の不安は少しは拭える。
「真咲?」
「……今日は…気をつけた方がいいかも」
私にしか感じない不安が表情に出ていたのか、それとも感じたのかティアも険しい表情で私を見る。用心に越したことはない。ティアも軍人だからその辺りは弁えてると思うけど。
「そうね、気を引き締めて行きましょう」
二日目を歩き始める。用心を越してと、私たちとマルクト兵で分かれて住民の護衛に付く。私の側には数十人の住民と数人のマルクト兵。私も彼らもジェイドの部下だけど初対面。いきなり初めて会った私が少佐で上司になると言われ戸惑う。まぁそれは当然だよね。ヒソヒソと何か話してるのが聞こえるし。
「そこの連中待て!」
溜息が出そうな気分になると同時に後ろからの声に一斉に振り返る。そこには数人のキムラスカ兵の姿。一番会いたくないのに会ってしまった。正直、魔物との方が気兼ねなく戦えた。全く戸惑うことはないけど、それでも人間を相手するよりはマシだ。
「あなたたちは住民を連れて逃げて!」
「霧島少佐は!?」
杖を召喚し、彼らの前に出る。人を守りながらの戦いに慣れていない私が先導するより、彼らに任せた方がいい。ここで血を見るのも浴びるのも私一人で十分だ。
「私が足止めします。大丈夫だから、早く!」
「わ、わかりました!」
兵士たちが住民を囲いながら避難していくのを横目で見て前に立ちはだかるキムラスカ兵に視線を戻す。戦わなくて済むなら戦わない方がいいけど、今はそれは出来ない。選ばざる得ないとはいえこのルートを選んだ時点で覚悟していたこと。
だから……私は……