28話 その手を汚すのは…誰が為?
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「お父様にはお気の毒ですが、息子さんは敵の襲撃を受け戦死なさいました」
「い、いつ!?この間タルタロスがエンゲーブに来た時は、あいつも元気で……」
喜びも一転。その息子は神託の盾の襲撃時に……あの時はイオンを守ることで手一杯でそこまで頭が回らなかった。結局、イオンも捕まってしまったけど……今悔やんでも悔やみきれなくて、仕方なくて。自分の不甲斐なさにこの人を見ていられなくて顔を背けてしまう。預言では高貴な方の力になる、だから軍人になるように言われた……預言を信じたことの結果。いや、もしかしたらアクゼリュスの崩落は預言通りだとしても彼の死はそうではなかったかもしれない。取り乱す男性にジェイドはその後です。と冷静に彼の最後を男性に告げる。すると悲痛な面持ちを見せた後、がっくりと肩を落とし……馬鹿野郎めと絞り出すように発してとぼとぼと住民たちが休む野営地へと戻っていった。
「マルコは預言のせいで死んだも同然じゃないか」
「預言士は死の預言だけは詠まないわ。詠んではいけないの。例えその預言の先が死だと、わかっていても」
「……人は…死を目前としたら、冷静じゃいられない…」
やるせない。そんな気持ちを込めまるで預言を憎むかのように吐き捨てるルーク。わかるよ、ルークの言いたいことは痛いほどをわかる。周囲の人たちが知らない事実を知る私たちには、わかる。
「そんなのおかしい……アクゼリュスと同じじゃないか!」
拳を力一杯握りしめ行き場のない怒りを吐き捨てる。
「ここで苛ついても何にもなりません。今はエンゲーブの住人を、ケセドニアへ送り届けることだけに集中して下さい」
「……わかったよ」
優先順位を考えるなら、そう諭すようにジェイドが言えばルークも今は納得してくれて肩を落としながら野営地のほうへと戻っていった。みんなの心の悲しみや苦しみを代弁するかのように冷たい風が吹いた。